実践IT経営論 -Professional IT Management-

担当教員・研究室 単位数 種別 授業形態 ナンバリングコード
明神 知 304研究室
2 選択 講義 GDB508
授業の概要
昨今の経営、経済、IT を取り巻く環境は、グローバリゼーション、クラウドコンピューティングなどの進展を受け激しく変化している。それと共にIT マネジメントの重要性はさらに高まっているといえ、企業においてはIT マネジメントを推進するCIO が必要となって来ている。
本科目は、将来CIOを目指し、情報システム責任者となるために必要なIT マネジメントの基礎を勉強し、加えて現在の日本企業の具体的なIT マネジメントの課題等をケーススタディしてディスカッションを通して理解することを目的とする。
授業における学修の到達目標
日本の情報システム部門の課題を理解して、どのような解決の方向性があるのかを探り、自ら実践的に取り組める知識を修得する。
授業計画
<基本の理解>
1.企業情報システムと開発プロセス
・企業情報システムの全容をまず概略レベルで把握してもらう
・次にその情報システムの開発手順と各プロセスでの作業内容を紹介する
・組織内における役割分担、メーカーや情報サービス業との役割分担など、開発の現場をまず理解してもらう。

2.情報システム部門の現状
情報システムの開発・運用を担う情報システム部門の現状を知ってもらう
・年間情報化費用の用途
・情報システム部門の組織例からどのような職種があるのか
・各職種の役割
・情報システム部門の抱える課題
・今後求められる人材像

3.情報サービス産業の現状
情報サービス産業の実態を知ってもらう
・情報サービス産業の事業内容
・システム開発、運用における役割
・業務の進め方
・情報サービス産業のビジネスモデルと経営課題

<IT マネジメントの業務>
4.情報企画、開発プロセスと運用業務
システム管理基準とCOBIT を参照しながら、情報企画業務についての理解を深める
・情報企画のプロセス
・各プロセスの詳細
開発・運用を実施する情報システム部門の主要業務の内容について理解する。
・開発プロセスの比較
・運用業務の理解

5.ビジネスモデリング
システム化の最上流の新しい方法論であるビジネスモデリングについて理解する。
・経営戦略の可視化=BSC
・ビジネスモデリング
・To-Beモデルの作成
・要件定義

6.情報システムの調達
システム開発・保守はアウトソーシングが中心である。その調達プロセスを理解する。
・システム調達の様々なケース
・調達プロセス
・RFP の作成

<IT マネジメント1>
7.ITマネジメントの今日的課題
「CIOの機能と実践に関するベストプラクティス懇談会」報告書に基づき、ITマネジメントに関する課題について理解を深める
・CIOの機能と実践に関するベストプラクティス懇談会」報告書
・CIOに求められる7つの機能

8.戦略マネジメントの理解
IT投資は戦略実現の手段であるということの議論を深める前提として、戦略マネジメント、具体的にはBSCの理解を深める。
・BSC の概念とその変遷
・最新のBSC の理解

9.BSC、IT 投資マネジメント
BSC を用いたIT 投資マネジメントのフレームワークを理解する
・BSC とIT 投資マネジメント
・IT 投資マネジメントのフレームワーク

<IT マネジメント2>
10.エンタープライズアーキテクチャ
全社最適の視点からIT マネジメントを実行するにあたっての基本的なフレームワークである、EA:エンタープライズアーキテクチャについて理解する。
・EAとは
・EAの適用事例
・EA整備の進め方

11.新しい時代のIT マネジメント3
Web2.0 と同様にエンタープライズシステム構築においておきているパラダイムシフト(BPM とSOA の組み合わせ)を理解し、これからのIT マネジメントのあり方について議論する
・BPM とSOA の理解
・BPM とSOA を中心とする新しいシステム構築スタイル
・SOA とSaaS をどのように扱うべきか
・マイクロサービスは何が違うのか

12.新しい時代のIT マネジメント4
SMACS(Social Mobile Analytics/BigData Cloud Sensor/Security)の台頭によるデジタル破壊の時代のITマネジメント
・SMACSとは何か
・デジタルビジネスとは(FinTech、ブロックチェーン、スマートコントラクト)
・サービスデザイン思考によるデジタルビジネス開発メソドロジー


13.情報システムセキュリティ
・情報セキュリティ10大脅威 2017
・世界のサイバーセキュリティの現状
・経営者のための情報システムセキュリティ


14.ITコンサルティングプロセス(ITCプロセスをベースに)
・情報システム開発プロセスのマネジメント
・ITCプロセス概要
・経営戦略の策定、要件開発、システム要件定義、調達管理、開発管理、移行、運用、保守
・ミニ演習


<まとめ>
15.まとめとIT マネジメントの今後の方向についての議論
・11回の講義の振り返り
・アーキテクチャ成熟度ステージ
準備学習(予習・復習等)
POLITEに提示する参考文献を読み込んで整理し、要点と疑問点の発表準備を行う(2時間)
授業で指示した課題やレポートをまとめてPOLITEに提出する(2時間)
成績評価方法
演習は発言、各回の成果物で評価
課題(試験やレポート等)に対するフィードバック方法
試験や小テスト、レポートはPOLITEで行うので、POLITEの返信、コメントとしてフィードバックを行うとともに必要に応じて授業で解説を行う。
教科書
参考書を使う
参考書・資料等
情報サービス産業白書2015 情報サービス産業協会(JISA) (著) 日経BP社 (2015/1/9)
情報サービス産業白書 2016 2016/5/20 一般社団法人 情報サービス産業協会 (著) インプレス (2016/5/20)
情報サービス産業白書 2017 デジタルビジネスへの挑戦 2017/6/19 一般社団法人 情報サービス産業協会 (著)
図解CIOハンドブック 改訂4版 2012/12/13 野村総合研究所 システムコンサルティング事業本部 (著) 日経BP社; 改訂4版 (2012/12/13)
ビジネスリーダーにITがマネジメントできるか -あるITリーダーの冒険 単行本 ? 2010/4/8
Robert D. Austin (著),Shannon O'Donnell (著),? Richard L. Nolan (著),? 淀川 高喜 (翻訳)
百年アーキテクチャ 接続可能な情報システムの条件 単行本 ? 2010/7/29 宗平 順己 (著),? 明神 知 (著), 大場 克哉 (著), 池田 大 (著),今井 英貴 (著),谷上 和幸 (著), 平山 輝 (著) 日経BP社 (2010/7/29)
情報システムの分析と調達 (情報システムライブラリ) 2008/6/1 宗平 順己 (著), 島田 達巳 (監修)  日科技連出版社 (2008/6/1)
企業情報システムアーキテクチャ 大型本 ? 2009/4/16 南波 幸雄 (著) 翔泳社 (2009/4/16)
IT経営推進プロセスガイドライン Ver.3.0 (新PGL)ダイジェスト版(日本語) (2017/4/3発行) https://www.itc.or.jp/about/guideline/dlfile/pgl_v3_digest.pdf
備考
なし